神奈川県・横浜市地層写真集

 怪! 戸塚区 阿久津川の川底に箱根大火砕流の渦巻きが現れた!


地層名 箱根火砕流(東京軽石層-軽石層)TP-FLOW
所在地  戸塚区 
年 代  約5万年前
説 明 横浜の地層の中でも、この地層の怪奇さはとびっきりです!2002年1月、ビデオ「大地を変える火山噴火」作成中に出会った戸塚区の地主さんからめずらしいものが川底に出ている、というお電話をいただき、ただちに急行しました。
 阿久津川を親水公園化する工事で、川底のコンクリートをはがしたのです。すると、こんな木の切り株のようなものが出てきました。しかし、これは切り株ではありません。地層を見ると、最大1cm程度までの白い軽石が混じっていて、これは「火砕流」であることがわかります。
 5万年前の箱根大噴火では、最終段階に未曾有の大火砕流が発生しましたが、その火砕流は何と、箱根駅伝の選手が走るコースを時速200キロのスピードで流れてきて、阿久津川があるこの谷に襲いかかり、10mもの熱い軽石と灰で蒸し焼きにして埋めてしまったのです。この渦巻きは、その火砕流のすさまじい渦まきそのものと私は考えています。(別の解釈があったら教えてください。) 

現状について

 現状は侵食が進んでどうなっているかわかりません。

※地層の路頭は大切は自然の遺産です。所有者・管理者の許可を得て入りましょう。化石はむやみに採取してはいけません。大切にみんなで観察しましょう。

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この川底の遠景。渦巻きがいくつもあるのがわかる。

この上の山の地主さんの中丸氏。今回お電話いただいたことに感謝いたします。中丸氏の下の地層も、一見何の変哲もない泥のようだが、すべて箱根火砕流そのもので、きわめてめずらしいものだ。

この地層を拡大した写真
白い大きなつぶは軽石で、だいぶやわらかくなっているが、泡立った火山噴出物であす。こんな大粒の軽石を含んだ火砕流が山を越えて、この谷になだれ込んできたのです。動物も植物も一瞬で蒸し焼きになり、一面火砕流に何メートル埋め尽くされ「死の谷」となったことでしょう。

案内図
 相鉄いずみ野線弥生台駅から徒歩10分程度 「新橋」交差点の下の川です。右の地図で「TP河床」となっているところにこの火砕流が露出している。
 なお、私が行ったとき(2002年1月)はまだ工事の真っ最中で、その下の海成層から、新鮮なマガキの貝殻がたくさん出て、下流に流されていた。
 「川底に牡蛎殻」となっているところにも、かなりの牡蠣が流れていた。なお、この部分の川底の地層は、断定はできないが、上総層群と考えられた。