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横浜自然史博物館.Virtual  地層ギャラリー
千葉県  舘山の世にも怪奇な地層
〜巨大地震の化石か?〜
千倉層群 

前弧地域斜面海盆の堆積層がなんらかかの原因(巨大地震)で液状化、流動化したもの
撮影 2007年
(2008年には工事で覆われて見えないとのことです)

 2007年真夏。産業技術総合研究所(特別研究員) 山本由弦博士が報告している舘山の不思議な地層の調査に蟹江康光博士夫妻、蛯子貞二博士が向かうと聞きつけたところ、蟹江夫人の温かいお誘いをいただいたこともあり、鷲山はムリムリ同行をお許しいただいた。
 三博士と蟹江夫人にに心より感謝申し上げます。不思議な地層を前に三浦、房総地域の第一線の研究者である三博士のディスカッションを聞くことができた豪華な巡検でした。

 海の底に水平につもったはずの地層がめちゃくちゃに!

千葉県館山市の道路工事現場にこんな不思議な地層が現れました。
調査した山本由弦博士によれば、次のように考えられるとのことです。

1 この地層が積もったのは深い海底でした。
2 海溝に向って深くなっていく斜面にできた平らな場所だったと考えられます。
3 また、この海底は海のプレートが押し寄せてくる境目に近いため、関東地震や元禄地震などの巨大地震が定期的に起きる場所でもあります。
4 巨大地震が起きると、固まっていない砂の地層は液状化します。液状化は陸の固まっていない砂などの地層で見られますが、同じように海底でも起きるそうです。
5 液状化した砂の地層(灰色の部分)が流動したため、その上に乗っていた比較的固まっていた火山灰などからなる地層が崩れてひっくり返ったりうごいたりした。
6 こうして巨大地震のたびに、斜面に積もった地層は海底乱泥流となって海溝に向って動き、日本の地層の骨格となっていったと考えられます。